ブラジルの裁判所

ブラジルの裁判所の構成は日本と違って乱暴に言えば四審制である。連邦の裁判所と州の裁判所があって、連邦の裁判所にはそれぞれ労働、選挙、軍事を管轄とする労働裁判所、選挙裁判所、軍事裁判所が存在する。

連邦最高裁判所は11名の裁判官で構成され、全員参加の大法廷と長官を除く5名ずつで構成される2つの小法廷がある。外国判決の承認や連邦法の解釈の統一などの役割を連邦司法高等裁判所が担うことによって負担の軽減が図られているものの、国会議員を当事者とする普通犯罪については連邦最高裁判所が原審として審理することになっている上、ブラジルでは2014年以降の大規模な汚職捜査によって多数の国会議員が刑事事件の当事者になっているため連邦最高裁判所はほぼ麻痺している。

ブラジルの第一審裁判所は単独の裁判官で構成されているため「裁判官」と呼ばれている。第二審以降は合議体で構成され、審理だけでなく評議も公開されているところに特色がある。日本の裁判所は評議の秘密(裁判所法75条)を守らなければならないと定め、その趣旨は裁判官の自由な意見の確保することなどと説明される。しかし、汚職や脅迫が多く裁判官の自由な意見の確保が一層困難であるはずのブラジルの裁判所でむしろ評議を公開していることは示唆に富む。連邦最高裁判所の評議内容は専門チャンネルでテレビ中継され、裁判官同士が激しい口調でやりあう場面もそのまま放送される。

第四審
連邦最高裁判所(Supremo Tribunal Federal – STF)

第三審
連邦司法高等裁判所(Superior Tribunal de Justiça – STJ)
連邦労働高等裁判所(Tribunal Superior do Trabalho – TST)
連邦選挙高等裁判所(Tribunal Superior Eleitoral – TSE)
連邦軍事高等裁判所(Superior Tribunal Militar – STM)

第二審
連邦地域裁判所(Tribunal Regional Federal – TRF)
連邦労働地域裁判所(Tribunal Regional do Trabalho – TRT)
連邦選挙地域裁判所(Tribunal Regional Eleitoral – TRE)
連邦軍事査問委員会(Conselho de Justiça Militar – CJM)

第一審
連邦裁判官(Juiz Federal – JF)
労働裁判官(Juiz Trabalho – JT)
選挙裁判官(Juiz Eleitoral – JE)
軍事査問官(Juiz Auditor – JA)

州裁判所の構成は各州憲法で定めることになっているものの、第二審の州司法裁判所(Tribunal de Justiça – TJ)と第一審の州裁判官(Juiz de Direito – JD)が存在する。州裁判所の事件の第三審は連邦司法高等裁判所である。また州の軍事裁判所の第一審は軍法会議で、第二審は州軍事裁判所が置かれている場合と、州司法裁判所がその役割を果たしている場合がある。

上記に加えて、小規模かつ簡易な事件を処理するための簡易裁判所(Juizado Especial)が設置されている。州簡易裁判所(Juizados Especiais Estaduais)には少額民事事件を処理する州民事簡易裁判所(Juizados Especiais Cíveis -JECs)、簡易な刑事事件を処理する州刑事簡易裁判所(Juizados Especiais Criminais – JECrim)、州や市の利益にかかわる少額民事事件を処理する州公共財務簡易裁判所(Juizados Especiais Fazendários)がある。また、連邦の利益にかかわる少額民事事件を処理する連邦簡易裁判所(Juizados Especiais Federais – JEFs)も設けられている。

Yasuyuki Nagai
Advogado japonês em Nagoya

ブラジル電子投票の歴史

ブラジルは早くから電子投票に取り組んでいる国のひとつで、プッシュ式電話機のボタンのような入力装置のついた投票機を使って投票を行う。そのため、選挙の時期になると、候補者の番号を書いたビラが配られている。ブラジル選挙高等裁判所(Tribunal Superior Eleitoral)のホームページ「電子投票機シリーズ:ブラジルにおける投票の情報化の歴史を知る(Série Urna Eletrônica: conheça a história da informatização do voto no Brasil)」にブラジルの電子投票の歴史が書かれていたので、その内容を翻訳して紹介する。

20年に渡って存在する電子投票機は投票の秘密の安全と保障を常に誇りとして進化してきました。しかし、情報化された投票モデルを導入するにあたっては、技術を完成させるためのさまざまな調査が選挙裁判所によって行われたのです。

情報化以前には、有権者は紙の投票用紙を使って、木、鉄そして布の投票箱の中に手で投票しなければなりませんでした。今とは違って、投票と開票にもっと時間をかけていて、沢山の人によって行われ、終わるまでに何日もかかりました。

票を集めるための機械的なシステムを構築して選挙を容易にするという発想は古くからあります。1932年選挙法はその第57条においてすでに「投票の機械装置の利用」を定めていました。このアイデアは半世紀以上後に実現し、その間1958年にソクラテス・リカルド・プンテルによってプンテル装置が発明されました。プンテル装置は2つの鍵盤と選出される公職を指し示す2つの目盛りによって動作しますが、選挙において実用化されるには至りませんでした。

1985年から1986年にかけてようやく、有権者登録の重複防止の強化と自動化に伴って、ブラジルにおける投票の情報化が実現に向かい始めました。当時の技術力はシステムを構築するのに十分な水準でした。それ以前は有権者登録は紙の上で行われていたのです。

更なる情報化の進展を背景に、各選挙地域裁判所は電子投票機のさまざまなプロトタイプの開発に取り組み始めました。1989年には、サンタカタリナ州ブルスキ市で初めてコンピュータを利用して投票が行われました。実験的な性格のもので、大統領選挙の第2回投票でした。またこの年に各選挙地域裁判所は初めて(音声・データ経路によって)相互接続され、選挙高等裁判所に中央コンピュータが設置されました。情報の受信は386型マイクロコンピュータによって行われ、成功裡に終わりました。

しかしながら、1994年になってようやく、選挙高等裁判所は、選挙裁判所自身の計算資源によって、その年の選挙結果の電子的な処理を実現しました。このとき、選挙裁判所の全国ネットワークの創設に伴って、電子投票について検討するために必要なインフラが整いました。このネットワークによっていくつかの地域センターに各市郡の集計結果を送信できるようになりました。1994年の大統領選挙は票数があまりに多く、夜の11時近くになって、票の絶対多数を獲得したことを選ばれた候補者に伝えることができました。

1995年以降、この記事の主題である電子投票機が形になり始めました。技術的な目標はより安全で、素早く、選挙手続への人の介入をできる限り避けるということになりました。この年、ミナスジェライス選挙地域裁判所によって、投票情報化計画が承認されました。州上級審判事、法律学者、選挙裁判所職員からなる「検討グループ」が結成され、票の自動的な集計がどのようになされるべきかという要件定義を担いました。

各技術はそれぞれの地域裁判所によって小さくて安価なパーソナルコンピュータを使ってテストされました。しかしながら、当時の確立した見解によればコンピュータは全国的な電子選挙に採用するのに十分な安全機構を備えていませんでした。そこで、これらの技術は、コンピュータをベースとして同一の筐体に画面と入力装置とCPUを有し、安全性についてのさまざまな要求をあらかじめ備えた装置の開発に注がれました。

各技術はまた、市民による操作が容易で、かつ内部メモリへのアクセスができない完全にクローズな機械という当時のコンピュータにはないものを目指しました。「多くの選択肢を有するキーボードを備えるのではなく、非常に限定された目的を持つものを備えることで、非識字者の投票までも可能になるでしょう。電話の入力装置[投票機に採用されました]は非識字者や弱視者が過度の困難なくこの装置を利用できるようにするのに最適でした」と選挙高等裁判所情報技術局長のジウセッペ・ジャニーノは説明します。

こうして、「検討グループ」によって決められた前提に基づいて、電子投票機の基本設計を行う「技術グループ」が任命されました。そのために、国立宇宙研究所(Inpe)から3人、陸軍から1人、空軍(航空宇宙科学技術部門DCTA)から1人、海軍から1人、電信開発研究センター(CPqD)からその他の技術者が集められました。

「輸入されたソリューションではなく、私たち[ブラジル人の]需要に応えて開発されたソリューションでした。私たちは投票を自動化するなんらかのソリューションをマーケットに求めることはしませんでした。このソリューションは私たちの需要を正確に満たし、私たちの置かれた現実に完全に適合する個性を備えています」と選挙高等裁判所情報技術局長は強調しています。

当時「検討グループ」は電子的な票の集計について、有権者が投票内容を登録し、キー入力に応じて選ばれた候補者を表示するキーとモニターによって、候補者番号と政党番号のみを考慮して実施することを推奨していました。

情報化選挙

プロトタイプが選挙高等裁判所に提示された翌年の1996年には、当時の有権者の3分の1にあたる3200万人以上のブラジル人が、この選挙のために製造された7万台以上の電子投票機によって投票を行いました。20万人以上の有権者がいる57の都市が電子投票に参加し、その中には26の州都が含まれていました。

1998年の選挙の際にはすでに、電子投票は4万人以上の有権者がいる537の市郡で実施され、これは当時の全国の有権者の75パーセントに相当していました。そして、2000年の選挙になってようやく、電子投票が全ての市郡で利用され、これによって完全な情報化が達成されたのです。

2008年の選挙では、サンジョアンバチスタ市(サンタカタリナ州)、ファッチマドスル市(マットグロッソドスル州)及びコロラドドオエスチ市(ロンドニア州)で生体認証装置を備えた電子投票機がテストされました。3つの都市での生体認証試験の成功の後、選挙裁判所は2010年に他の47市郡で選挙に関する生体認証計画を継続する判断をしました。こうして、2010年の統一選挙において、23州60市郡の110万人の有権者が、バイオメトリクステクノロジーによる本人確認の後に投票しました。

2012年は市郡議員選挙の年で、24州299市郡で電子投票機による生体認証が実施され、指紋による本人確認の後に投票した有権者の数は800万人に及びました。

2014年選挙

歴史上最大と思われる2014年総選挙では投票所に来た1億1500万人の票を記録するために約50万台の投票機が用いられました。第1回投票の際には開票及び集計の時間が記録され、19時56分26秒にはすでに数学的に選挙結果を知ることができ、有効投票率は91パーセントでした。

生体認証も大規模になって、さらに多くのブラジル人に利用されました。全ての州及び連邦区の764市郡の市民約2100万人が生体認証による本人確認の対象になりました。有権者の指紋認証は高度な有効性を示しました。

情報技術局長によれば、電子投票機はここ数年その外部は大きく変化していませんが、その内部は安全性の保障のために継続的に進歩しています。現在の投票機は高さ15センチ、奥行き27センチ、幅42センチで、重さは8キロです。

「投票機は強力なプロセッサからより適切なセキュリティ技術を採用するための電子部品に至るまで常に進歩してきました」とジウセッペ・ジャニーノは明言し、「明らかに私たちは技術の歩みとそれがもたらす恩恵の膨大な列の中にあって、進歩はすでに約束されているのです」と結論しました。

Yasuyuki Nagai
Advogado japonês em Nagoya

ブラジルの離婚制度

婚姻関係の解消に関するブラジル民法(Código Civil)の規定は次のようになっている。

CAPÍTULO X
第10章
Da Dissolução da Sociedade e do vínculo Conjugal
婚姻関係及び結合の解消

Art. 1.571. A sociedade conjugal termina:
第1571条 婚姻関係は以下によって終了する。
I – pela morte de um dos cônjuges;
一号 当事者の一方の死。
II – pela nulidade ou anulação do casamento;
二号 婚姻の無効又は取消。
III – pela separação judicial;
三号 法定別居。
IV – pelo divórcio.
四号 離婚。
§ 1º O casamento válido só se dissolve pela morte de um dos cônjuges ou pelo divórcio, aplicando-se a presunção estabelecida neste Código quanto ao ausente.
1項 有効な婚姻は当事者の一方の死又は離婚によってのみ解消され、失踪の場合には本民法に定められた推定を適用する。
§ 2º Dissolvido o casamento pelo divórcio direto ou por conversão, o cônjuge poderá manter o nome de casado; salvo, no segundo caso, dispondo em contrário a sentença de separação judicial.
2項 離婚又は法定別居からの転換による婚姻の解消の場合には、当事者は婚姻時の名を継続して用いることができる。ただし、転換の場合において、別居判決の定めに反する場合にはこの限りでない。

Art. 1.572. Qualquer dos cônjuges poderá propor a ação de separação judicial, imputando ao outro qualquer ato que importe grave violação dos deveres do casamento e torne insuportável a vida em comum.
第1572条 婚姻当事者はいずれも、他方当事者の婚姻関係上の義務の重大な侵害をもたらすなんらかの振る舞い及び共同生活が耐えがたくなったことを理由とし、法定別居訴訟を提起することができる。
§ 1º A separação judicial pode também ser pedida se um dos cônjuges provar ruptura da vida em comum há mais de um ano e a impossibilidade de sua reconstituição.
1項 法定別居は1年以上の共同生活の破壊及び回復不可能性を証明した婚姻当事者も提起することができる。
§ 2º O cônjuge pode ainda pedir a separação judicial quando o outro estiver acometido de doença mental grave, manifestada após o casamento, que torne impossível a continuação da vida em comum, desde que, após uma duração de dois anos, a enfermidade tenha sido reconhecida de cura improvável.
2項 婚姻当事者は、他方当事者が婚姻後に明らかになった重大な精神疾患に罹患している場合において、共同生活を継続することが困難になったときは、疾患の回復が不可能であることが明らかになってから2年を経過した後、法定別居を申し立てることができる。
§ 3º No caso do parágrafo 2o, reverterão ao cônjuge enfermo, que não houver pedido a separação judicial, os remanescentes dos bens que levou para o casamento, e se o regime dos bens adotado o permitir, a meação dos adquiridos na constância da sociedade conjugal.
3項 第2項の場合において、婚姻財産の残余は法定別居の申立てをしなかった病気の婚姻当事者に帰属し、適用される婚姻財産制が許すときは、婚姻期間中に得た財産は折半する。

Art. 1.573. Podem caracterizar a impossibilidade da comunhão de vida a ocorrência de algum dos seguintes motivos:
第1573条 以下の動機のいずれかが生じた場合、共同生活が不可能であると認めることができる。
I – adultério;
一号 不貞行為。
II – tentativa de morte;
二号 自殺未遂。
III – sevícia ou injúria grave;
三号 虐待又は重大な侮辱。
IV – abandono voluntário do lar conjugal, durante um ano contínuo;
四号 1年間継続した意図的な自宅の遺棄。
V – condenação por crime infamante;
五号 破廉恥罪による有罪判決。
VI – conduta desonrosa.
六号 不名誉な振る舞い。
Parágrafo único. O juiz poderá considerar outros fatos que tornem evidente a impossibilidade da vida em comum.
単項 裁判官は共同生活の不可能を証明することになるその他の事実を考慮できる。

Art. 1.574. Dar-se-á a separação judicial por mútuo consentimento dos cônjuges se forem casados por mais de um ano e o manifestarem perante o juiz, sendo por ele devidamente homologada a convenção.
第1574条 1年以上婚姻している婚姻当事者双方の合意及び裁判官の面前での意思表明によって、許可された適切な協定の下での、法定別居が許される。
Parágrafo único. O juiz pode recusar a homologação e não decretar a separação judicial se apurar que a convenção não preserva suficientemente os interesses dos filhos ou de um dos cônjuges.
単項 協定が子又は一方当事者の利益を十分に保持するものでないと判断された場合には裁判官は許可を拒み、法定別居を命令しないことができる。

Art. 1.575. A sentença de separação judicial importa a separação de corpos e a partilha de bens.
第1575条 法廷別居の判決は別居及び財産分与をもたらす。
Parágrafo único. A partilha de bens poderá ser feita mediante proposta dos cônjuges e homologada pelo juiz ou por este decidida.
単項 財産分与は当事者の提案及び判事による認可又はその判断によって行うことができる。

Art. 1.576. A separação judicial põe termo aos deveres de coabitação e fidelidade recíproca e ao regime de bens.
第1576条 法定別居は同居義務及び相互の貞節及び夫婦財産制の終期となる。
Parágrafo único. O procedimento judicial da separação caberá somente aos cônjuges, e, no caso de incapacidade, serão representados pelo curador, pelo ascendente ou pelo irmão.
単項 別居の法律手続は婚姻当事者のみの権限である。また、無能力の場合には、後見人、存続又は兄弟によって代表される。

Art. 1.577. Seja qual for a causa da separação judicial e o modo como esta se faça, é lícito aos cônjuges restabelecer, a todo tempo, a sociedade conjugal, por ato regular em juízo.
第1577条 法定別居の原因及び方法にかかわらず、婚姻当事者が婚姻関係の回復を通常の裁判手続で申し立てることは適法である。
Parágrafo único. A reconciliação em nada prejudicará o direito de terceiros, adquirido antes e durante o estado de separado, seja qual for o regime de bens.
単項 婚姻財産制がなんであれ、和解が、法定別居期間又はその前に獲得された第三者の権利を害することはできない。

Art. 1.578. O cônjuge declarado culpado na ação de separação judicial perde o direito de usar o sobrenome do outro, desde que expressamente requerido pelo cônjuge inocente e se a alteração não acarretar:
第1578条 法定別居訴訟において有責であると宣告された婚姻当事者は、他方当事者の明白な要請があり、姓の変更が以下の事項を引き起こさない場合、他方当事者の姓を利用する権利を喪失する。
I – evidente prejuízo para a sua identificação;
一号 身分証明の明白な毀損。
II – manifesta distinção entre o seu nome de família e o dos filhos havidos da união dissolvida;
二号 関係を解消した家族及び子どもと自分の名前の明白な違い。
III – dano grave reconhecido na decisão judicial.
三号 法的判断における既知の重大な損害。
§ 1º O cônjuge inocente na ação de separação judicial poderá renunciar, a qualquer momento, ao direito de usar o sobrenome do outro.
1項 法定別居訴訟における無責当事者は他方当事者の姓を使用する権利をいつでも放棄できる。
§ 2º Nos demais casos caberá a opção pela conservação do nome de casado.
2項 他の場合には婚姻時の名前を維持することを選択できる。

Art. 1.579. O divórcio não modificará os direitos e deveres dos pais em relação aos filhos.
第1579条 離婚は子との関係で両親の権利及び義務に変化を生じさせない。
Parágrafo único. Novo casamento de qualquer dos pais, ou de ambos, não poderá importar restrições aos direitos e deveres previstos neste artigo.
単項 両親のいずれか又は双方の新たな婚姻は本条に定められた権利及び義務に制約をもたらすことはできない。

Art. 1.580. Decorrido um ano do trânsito em julgado da sentença que houver decretado a separação judicial, ou da decisão concessiva da medida cautelar de separação de corpos, qualquer das partes poderá requerer sua conversão em divórcio.
第1580条 法定離婚を命じる確定判決又は予備別居措置の許可決定から1年を経過した場合、いずれの当事者も離婚への転換を申し立てることができる。
§ 1º A conversão em divórcio da separação judicial dos cônjuges será decretada por sentença, da qual não constará referência à causa que a determinou.
1項 法定別居の離婚への転換はその理由に言及しない判決によって命令される。
§ 2º O divórcio poderá ser requerido, por um ou por ambos os cônjuges, no caso de comprovada separação de fato por mais de dois anos.
2項 2年以上の別居の事実が証明される場合には離婚は当事者の一方又は双方によって申し立てることができる。

Art. 1.581. O divórcio pode ser concedido sem que haja prévia partilha de bens.
第1581条 離婚は財産分与の規定なく許可することができる。

Art. 1.582. O pedido de divórcio somente competirá aos cônjuges.
第1582条 離婚の請求は当事者のみが行うことができる。
Parágrafo único. Se o cônjuge for incapaz para propor a ação ou defender-se, poderá fazê-lo o curador, o ascendente ou o irmão.
単項 当事者が訴訟を提起し、防御する能力に欠ける場合には、後見人、尊属又は兄弟がそれをすることができる。

これを読むと離婚の要件は法定別居後1年の経過(1580条本文)又は2年の別居の証明(1580条2項)となっている。また協議による法定別居には裁判官の面前における意思表明が必要で(1574条)、協議離婚を認める規定は存在しない。しかし、これは実際の法の内容と大きく異なっている。

まず、2007年1月4日法律11441号(LEI Nº 11.441, DE 4 DE JANEIRO DE 2007)によって民事訴訟法1124条Aが改正され、未成年又は行為無能力の子がなく、法律の要件を満たす場合に協議離婚が認められることになった。その後民事訴訟法自体も改正され、現在この規定は民事訴訟法(Código de Processo Civil)731条以下に置かれている。

Seção IV
第4節
Do Divórcio e da Separação Consensuais, da Extinção Consensual de União Estável e da Alteração do Regime de Bens do Matrimônio
協議離婚及び別居、内縁関係の協議による廃止並びに婚姻財産制の変更

Art. 731. A homologação do divórcio ou da separação consensuais, observados os requisitos legais, poderá ser requerida em petição assinada por ambos os cônjuges, da qual constarão:
第731条 法の要件を満たす協議離婚又は別居の承認には以下の事項を記載した配偶者双方によって署名された申立書を求めることができる。
I – as disposições relativas à descrição e à partilha dos bens comuns;
一号 共有財産の目録及び分与に関する条項。
II – as disposições relativas à pensão alimentícia entre os cônjuges;
二号 当事者間の扶養手当に関する条項。
III – o acordo relativo à guarda dos filhos incapazes e ao regime de visitas; e
三号 行為能力のない子の保護及び面会交流に関する合意。及び、
IV – o valor da contribuição para criar e educar os filhos.
四号 子の養育費の負担額。
Parágrafo único. Se os cônjuges não acordarem sobre a partilha dos bens, far-se-á esta depois de homologado o divórcio, na forma estabelecida nos arts. 647a 658.
単項 財産分与について配偶者双方の合意がない場合には、離婚の承認の後に第647条ないし第658条の規定に従って分与を行う。

Art. 732. As disposições relativas ao processo de homologação judicial de divórcio ou de separação consensuais aplicam-se, no que couber, ao processo de homologação da extinção consensual de união estável.
第732条 協議離婚又は別居に関する裁判上の承認手続に関する手続は、適用可能な場合には、内縁関係の協議による廃止の承認に適用する。

Art. 733. O divórcio consensual, a separação consensual e a extinção consensual de união estável, não havendo nascituro ou filhos incapazes e observados os requisitos legais, poderão ser realizados por escritura pública, da qual constarão as disposições de que trata o art. 731.
第733条 協議離婚、協議による別居及び内縁関係の協議による廃止は、胎児又は行為無能力の子がなく、法の要件に従う場合には、第731条の定める事項を記載した公正証書によって行うことができる。
§ 1º A escritura não depende de homologação judicial e constitui título hábil para qualquer ato de registro, bem como para levantamento de importância depositada em instituições financeiras.
1項 公正証書は裁判上の承認に依拠せず、なんらかの登記及び金融機関における預金総額に関する調査の権限を有する者が作成する。
§ 2º O tabelião somente lavrará a escritura se os interessados estiverem assistidos por advogado ou por defensor público, cuja qualificação e assinatura constarão do ato notarial.
2項 利害関係者が弁護士又は公選弁護士の支援を受けている場合は公証人は単に公正証書の記載のみを行い、弁護士らの資格及び署名は公正証書に掲載する。

公正証書による協議離婚は、2013年10月29日付法律12874号(Lei nº 12.874, de 29 de outubro de 2013)によって在外公館でも行えるようになったが、ブラジルの弁護士による支援が必須となっていることもあって活用されていないようだ。

また、2010年7月13日付憲法修正第66号(EMENDA CONSTITUCIONAL Nº 66, DE 13 DE JULHO DE 2010)によって憲法226条6項が改正され、以前は

§ 6º O casamento civil pode ser dissolvido pelo divórcio, após prévia separação judicial por mais de um ano nos casos expressos em lei, ou comprovada separação de fato por mais de dois anos.
6項 民事婚は法に定められた1年以上の法定別居又は2年以上の別居の証明の後に離婚によって解消できる。

となっていたのが、新条文で、

§ 6º O casamento civil pode ser dissolvido pelo divórcio.
6項 民事婚は離婚によって解消できる。

となった。これによって離婚の要件について定めた民法1580条本文(法定別居から1年経過)や民法1580条2項(2年の別居の証明)は適用されなくなった。現在では離婚は自由化され、法定別居制度自体利用されていない。ブラジル民法は2015年にも改正されているが、このような現状は条文に反映されなかった。そのため、ブラジルにおける離婚の規律は外国人からみると極めて分かりづらいものとなっている。

ブラジルの離婚では、子の保護、財産分与、離婚する配偶者の扶養、慰謝料が問題となる。

このうち配偶者による扶養請求は専業主婦であるような場合しか認められないようだ。また、慰謝料は憲法5条五号でその請求権が保護されていて、民法927条以下の規定に基づいて請求可能であるが、実務上あまり請求されていないようだ。

Yasuyuki Nagai
Advogado japonês em Nagoya