在外国民審査権訴訟最高裁大法廷違憲判決獲得のご報告

当職がブラジル滞在中に原告のひとりとして提起し、帰国後は他の原告の代理人も兼ねて訴訟追行してきた在外国民審査権訴訟について、最高裁判所大法廷は、2022年5月25日、判決の言い渡しを行った。この訴訟では地位確認又は違法確認の請求と国賠請求を行っていたところ、第1審は国賠請求を認容し、その余の請求を却下、控訴審は違法確認請求を認容し、地位確認は却下、国賠請求は棄却とし、いずれも在外国民に審査権を認めないことは憲法に違反すると判断していた。

最高裁大法廷は、15人の裁判官全員一致の判断で、国民審査法が在外国民に審査権の行使を全く認めていないことは憲法に違反するとした。違法確認請求と国賠請求の両方を認容し、地位確認については適法な訴訟として請求棄却すべきで、不適法却下とした原審の判断は違法であるとしたものの、却下から棄却への不利益変更を避けるため原審の却下の判断を維持した。

この判決は1947年に日本国憲法が施行され、最高裁が創設されてから11番目の法令違憲判決にあたる。また、違憲確認という訴訟類型をはじめて認容した控訴審の判断を維持すると共に、控訴審が棄却した国賠も認容し、救済の門戸を押し広げた。立法に対する憲法的統制を強めた2005年在外国民審査権訴訟大法廷判決以降の流れを決定的にするもので、今後繰り返し引用されるに違いない歴史的判決である。

判決宣告の翌5月26日の主要各日刊紙朝刊は1面のトップ記事でこの判決について報じた。

2022年5月26日の主要各日刊紙朝刊1面

共に訴訟を追行した代理人、共に訴訟を提起した原告、意見書を作成していただいた研究者の先生方、訴訟についてご意見をお伺いした実務家・研究者の先生方、訴訟について報道していただいた記者の方々、訴訟費用等を支援してくださった方々、あたたかい声をかけてくださった方々など、多くの方の尽力によって大変良い判決を得ることができたことに感謝したい。

また、国会が投票しやすい在外国民審査制度をすみやかに創設することを期待したい。

Yasuyuki Nagai
Advogado japonês em Nagoya

在外国民審査権訴訟の口頭意見陳述

当職がブラジル滞在中に原告のひとりとして提起し、帰国後は他の原告の代理人も兼ねて訴訟追行している在外国民審査権訴訟について、最高裁判所大法廷は、2022年4月20日、口頭弁論を開いた。当職も出席し、第1審原告としての立場で口頭意見陳述を行なった。判決期日は追って指定となっているが、報道によれば夏までに言い渡される(2022年4月20日付NHK「最高裁裁判官の国民審査 在外投票認めるべきか 夏までに判決」)。第1審、控訴審に続いて違憲の判断となれば、日本の最高裁の歴史上11番目の法令違憲判決になる。最高裁は、違憲判決を出した場合、要旨を官報に公告し、裁判書正本を内閣に送付する。また、法令違憲判決については裁判書正本を国会にも送付する(最高裁判所事務処理規則14条)。このように最高裁が違憲判決の内容を官報に公告し、判決書を内閣・国会に送付する趣旨は、内閣・国会に違憲判決への対応を要請することにある。裁判所の公正な判断と、すみやかな法改正を期待したい。

口頭意見陳述の内容は以下のとおり。

 私は2015年4月から2019年7月にかけて、日系人及びその配偶者を中心とする訪日就労者を支援するNGOの理事として、ブラジルサンパウロに赴任していました。
 赴任1年後の2016年7月10日に参議院選挙が実施されました。選挙の前に在外選挙人証を取得するための手続を行ないましたが、選挙人証が届くまでにずいぶんと時間がかかって、投票できませんでした。私の在外選挙人証を見ると、登録が2016年8月19日になっていますから、投票日から数えても登録までに1月以上かかっていることが分かります。私に届いたのはさらに後です。そのため、2017年10月13日の第48回衆議院総選挙の際に、私ははじめて在外公館での投票を行ないました。
 在外公館に設置された投票所は整然と運営されていましたが、すぐに最高裁判所裁判官国民審査の投票ができないことに気がつきました。そして、これは憲法に違反しているのではないかと思いました。

 このことをSNSに書き込んだところ、当時アメリカ合衆国で暮らしていた谷口太規弁護士が、自分も同じように思ったと返答してくれました。谷口弁護士によれば、2011年の時点で国民審査に在外投票制度を設けていないことに憲法上の疑義があると指摘した東京地裁判決が存在するとのことでした。
 サンパウロで暮らす友人数名に相談したところ、2人の友人が一時帰国中に日本国内で期日前投票を行っていました。他の人は国民審査の投票を行っているのに、自分たちは海外在住者であるというだけで投票することができなかったということでした。群馬県で期日前投票に訪れた海外在住者に誤って国民審査の投票用紙を交付し、投票が行われてしまったとの報道にも接しました。投票は有効とのことで、選挙管理委員会は再び誤って投票が行われることのないよう再発防止を図るとコメントしていました。
 これはどう考えても間違っていると確信し、日本で投票を行なった友人2名と私のブラジル組3名と、谷口弁護士を含むアメリカ組2名の合計5名が原告となって、東京地方裁判所に訴訟を提起することにしました。

 訴訟の準備を進める中で、さらにおかしな点にも気がつきました。従前の国民審査法は国民審査の期日前投票の開始日を、公示日の翌日(通常は選挙期日前11日)に開始する衆議院総選挙よりも短い、選挙期日前7日としていました。その理由は、審査権の行使の対象となる裁判官の氏名が確定するのは通常選挙期日の12日前である告示日で、国民審査の投票用紙には裁判官名を記載しなければならないため、印刷を告示日以前に行うことはできず、国民審査の期日前投票を衆議院選挙と同様に告示日の翌日に開始することが不可能であるからという理由でした。2011年の訴訟で国はこれを根拠に在外投票は技術上不可能であると主張していました。しかし実際には、衆議院解散または任期満了前60日の時点で国民審査の対象となる裁判官名はほぼ判明しています。投票用紙を事前に印刷することも可能で、2016年の法改正によって国民審査の期日前投票は衆議院選挙と同様に告示日の翌日から行なうことを原則とすることになりました。
 この変更は何か事情が変わったから行なわれたわけではありません。国民審査の期日前投票を告示日の翌日から行なうことは、もっと前から可能だったはずです。国が主張する技術的不能は最初から存在していなかったのです。2017年の衆議院総選挙に際しても、告示日前にあらかじめ印刷した投票用紙を用いて、公示日の翌日から国民審査の期日前投票が行われました。在外公館で投票を行なうことは十分に可能だったはずです。また、点字投票などの方法で国民審査の投票を行う場合、投票用紙に裁判官の氏名の記載はされていません。在外投票を同じように行なうことに何の支障もないはずです。

 2019年5月28日には東京地方裁判所の裁判官のみなさんが、2020年6月25日には東京高等裁判所の裁判官のみなさんが、私たちの主張を認めてくれました。判決のたびに新聞各紙がこれらの判決を報道し、社説でも取り上げて国会による早急な立法措置を促してくれました。裁判官を含む多くの法律家の友人知人が、在外国民審査を行なわないのは違法だと思うと励ましてくれました。現在も在外国民である方々や、過去に在外国民であった経験を持つ多くの方々が、「自分もおかしいと思っていた。ぜひ制度を変えて欲しい」と声をかけてくれました。
 しかし、未だに国民審査法の改正はなされていません。
 私には在外選挙を実施することができるのに、在外国民審査を実施することはできない合理的な理由があるとは思えません。在外国民であるというだけで、日本の投票所において投票する権利まで剥奪するどのような合理的な理由があるのでしょうか。在外選挙人名簿は、選挙人名簿に劣る二級市民の名簿なのでしょうか。
 在外国民に等しく選挙権の保障が及び、在外選挙制度を何ら創設しないまま放置することについて、やむを得ない事由があったとはとうてい認められないと判断した2005年の最高裁大法廷判決からすでに17年です。国が今に至ってもなお在外国民から国民審査権を剥奪することが違憲でないと主張していることに、大きな憤りを感じます。

 最高裁判所の裁判官のみなさん。このような不合理な主権の剥奪が違法であることを、明確に指摘してください。みなさんから言っていただかなければ、この合理的な理由のない差別、そして主権の剥奪は終わりません。
 どうかよろしくお願いします。

Yasuyuki Nagai
Advogado japonês em Nagoya

ウクライナ難民に対するブラジル政府の対応

昨年アフガン難民に対するブラジル政府の対応を紹介した(アフガン難民に対するブラジル政府の対応)。ブラジル政府は、ウクライナ難民についても、2022年3月3日に対応するための省令(PORTARIA INTERMINISTERIAL MJSP/MRE Nº 28, DE 3 DE MARÇO DE 2022)を公布した。アフガニスタンのときと同様に、ウクライナ人はブラジルの領事館で180日間有効な一時査証の発給を受け、ブラジルに入国できる(2条。なお必要書類は3条)。入国後90日以内に連邦警察の窓口で登録して2年間有効な一時在留許可を受ける(4条)。就労も可能である(10条)。そして、2年後に生計の手段を証明すれば、期限のない在留許可に切り替えられる(8条)。

2月24日の朝、ブラジル副大統領のハミルトン・モウランがブラジルはロシアのウクライナ侵攻を支持しないと発言した。これに対してボルソナーロ大統領はこう述べた。

“Deixar bem claro: o artigo 84 diz que quem fala sobre esse assunto é o presidente. E o presidente chama-se Jair Messias Bolsonaro. E ponto final. Com todo respeito a essa pessoa que falou isso — e falou mesmo, eu vi as imagens — está falando algo que não deve. Não é de competência dela. É de competência nossa”(「はっきり言っておきたい。84条がこの問題について発言するのは大統領だと規定している。大統領の名前はジャイール・メシアス・ボルソナーロ。それが全てだ。その発言をした人物に関しては全てーーまさにそのことを発言していて、私はその映像を観たけれどもーー発言すべきでないことを話していた。それはその人物の権限ではない。それは我々の権限なのだ」)
Bolsonaro desautoriza fala de Mourão criticando ação militar na Ucrânia: “não é da competência dele, YouTube

この発言の中で、ボルソナーロ大統領はモウラン副大統領の名前を呼ばず、essa pessoa(その人物)と突き放している。そしてその後、今年行なわれる次回大統領選挙の副大統領候補からモウラン副大統領を外して、別の人物に決めてしまった。しかし、上記発言の3日後には、自らウクライナ難民に対する人道措置を公表した。その中でウクライナとロシアとの紛争には中立の立場を取ると述べ、経済制裁についても「世界は相互依存していて、こういった経済制裁が奏功するのは難しい」と述べて否定した(2022年2月28日付Folha de uol「Bolsonaro diz que Brasil concederá vistos humanitários para cidadãos ucranianos」)。ロシアに対して強い経済制裁を行なう先進各国に対し、ブラジル、インド、中国といったBRICs各国は独自の立場をとる。何かと矢面に立って非難される中国に比べ、経済制裁から距離を置く一方で、ウクライナに対する人道的措置を整えるブラジルの立ち位置は巧妙である。

報道によれば日本ではウクライナ情勢を鑑みて戦争難民に対する保護制度を整える必要があるとして、昨年廃案になったはずの入管法改正案を焼き直して復活させる動きが出てきている(2022年4月7日付JIJI.COM「準難民」制度の創設目指す 入管法改正、今秋にも再提出ー政府)。

しかし、前回のブログに書いたように、戦争難民の多くは条約難民として保護することが可能である(ウクライナ難民は条約難民か)。また、日本やブラジルのようにウクライナから遠く離れた国がウクライナ難民を保護するためには、在外公館がウクライナ難民に対する人道配慮査証を発給する必要がある。入管法を改正して戦争難民を準難民として保護する規定を設けても、在外公館で人道配慮に基づく査証を発給しなければ、保護の対象となる準難民は来日できない。ブラジル政府の対応は人道配慮査証の発給に眼目を置いたもので、この点にも目配りできている。

加えて、昨年の入管法改正案の補完的保護の規定は、現在日本政府が行なっている難民認定手続を前提とする限り、かえって保護の範囲を狭める可能性がある(入管法改正案の問題点ー補完的保護の創設)。人道配慮による在留資格の保護は補完的保護の規定を設けて行なうよりも、現在の在留特別許可の枠組みで行なった方がマシだ。新たに準備される準難民の制度も同様の枠組みになる可能性が高く、入管法改正はウクライナ難民の保護につながらないことを前提に議論すべきだろう。

以下のとおり省令の仮訳をした。

Dispõe sobre a concessão do visto temporário e da autorização de residência para fins de acolhida humanitária aos nacionais ucranianos e aos apátridas que tenham sido afetados ou deslocados pela situação de conflito armado na Ucrânia.
ウクライナにおける武力紛争という状況の影響を受け、又は避難したウクライナ国民及び無国籍者に、人道配慮のための一時査証及び在留許可を付与することを規定する。

OS MINISTROS DE ESTADO DA JUSTIÇA E SEGURANÇA PÚBLICA E DAS RELAÇÕES
EXTERIORES, no uso das atribuições que lhes confere o inciso II do parágrafo único do art. 87 da Constituição, tendo em vista os arts. 37 e 45 da Lei nº 13.844, de 18 de junho de 2019, o disposto no § 3º do art. 14, e na alínea “c” do inciso I do art. 30 da Lei nº 13.445, de 24 de maio de 2017, e no § 1º do art. 36 e § 1º do art. 145 do Decreto nº 9.199, de 20 de novembro de 2017, e o que consta no Processo Administrativo nº08018.012564/2022-21, resolvem:
司法・公安大臣及び外務大臣は、憲法第87条補項2号の権限を行使し、2019年6月18日付法律第13844号第37条及び第45条、2017年5月24日付法律第13445号第14条第3項及び第30条第1号c並びに2017年11月20日付大統領令第9199号第36条第1項及び第145条第1項の規定、および行政訴訟第08018.031401/2021-67号を考慮し、次のとおりとする。

Art. 1º Esta Portaria dispõe sobre a concessão de visto temporário e de autorização de
residência para fins de acolhida humanitária aos nacionais ucranianos e aos apátridas afetados ou deslocados pela situação de conflito armado na Ucrânia.
第1条 この省令は、ウクライナにおける武力紛争という状況の影響を受け、又は避難したウクライナ国民及び無国籍者に対し、人道配慮のための一時査証及び在留許可を付与することを規定する。
§ 1º Para o fim do disposto no caput, observar-se-á o disposto no § 3º do art. 14, e na alínea “c” do inciso I do art. 30 da Lei nº 13.445, de 24 de maio de 2017, e no § 1º do art. 36, e no § 1º do art. 145 do Decreto nº 9.199, de 20 de novembro de 2017.
1項 本条本文に定める目的のため、2017年5月24日付法律第13445号第14条第3項及び第30条第1項c並びに2017年11月20日付大統領令第9199号第36条第1項及び第145条第1項の各規定に従う。
§ 2º O disposto nesta Portaria vigorará até 31 de agosto de 2022 e não afasta a possibilidade de outras medidas que possam ser adotadas pelo Estado brasileiro para a proteção dos nacionais ucranianos e apátridas residentes na Ucrânia.
2項 本省令の規定は2022年8月31日まで有効で、ウクライナ国民及びウクライナに住む無国籍者の保護のためにブラジル国が適用する他の方法に関する可能性に影響しない。

Art. 2º O visto temporário para acolhida humanitária poderá ser concedido aos nacionais
ucranianos e aos apátridas afetados ou deslocados pela situação de conflito armado na Ucrânia.
第2条 人道配慮による一時査証は、ウクライナにおける武力紛争という状況の影響を受け、又は避難したウクライナ国民及び無国籍者に付与できる。
§ 1º O visto temporário previsto nesta Portaria terá prazo de validade de cento e oitenta dias.
1項 本省令の規定する一時査証の有効期限は180日とする。
§ 2º A concessão do visto a que se refere o caput ocorrerá sem prejuízo das demais modalidades de vistos previstas na Lei nº 13.445, de 2017, e no Decreto nº 9.199, de 2017.
2項 本項の査証の付与は、2017年法律第13445号及び2017年大統領令第9199号に規定する査証のその他の様式に反することなく行なう。
§ 3º O imigrante apátrida, em até noventa dias após seu ingresso em território nacional, deverá iniciar o processo de reconhecimento da condição de apátrida junto ao Ministério da Justiça e Segurança Pública, conforme estabelecido no art. 95 e seguintes do Decreto nº 9.199, de 2017, por meio do sistema SisApatridia, disponível na plataforma GOV.BR.
3項 無国籍移民は、入国後90日以内に、2017年大統領令第9199号第95条以下の規定に従って、gov.brプラットフォームで利用できる無国籍者システムを利用し、司法公安省に対する無国籍認定手続を開始しなければならない。

Art. 3º Para solicitar o visto temporário previsto nesta Portaria, o requerente deverá apresentar à Autoridade Consular:
第3条 本省令の定める一時査証を申請するため、申請者は在外公館に次の書類を提出しなければならない。
I – documento de viagem válido;
1号 有効な旅券
II – formulário de solicitação de visto preenchido;
2号 記入済みの査証申請書
III – comprovante de meio de transporte de entrada no território brasileiro; e
3号 ブラジルに入国するための移動手段の証明
IV – atestado de antecedentes criminais expedido pela Ucrânia ou, na impossibilidade de sua obtenção, declaração, sob as penas da lei, de ausência de antecedentes criminais em qualquer país.
4号 ウクライナで発行された犯罪歴証明書又はそれを入手することができない場合はいかなる国でも犯罪歴がないことを法の罰則のもとに宣誓した宣誓書
§ 1º De forma excepcional e devidamente motivada, o visto de que trata o caput poderá ser
concedido, mediante consulta à Secretaria de Estado das Relações Exteriores, ainda que diante da ausência de algum ou alguns dos documentos descritos nos incisos I a IV, também do caput.
1項 例外として、正当な理由がある場合には、外務省との協議により、本条本文の第1号ないし第4号の書類のひとつ又は複数が欠けている場合であっても、本条本文の査証を付与できる。
§ 2º A concessão de visto de que trata esta Portaria será precedida de entrevista presencial, que poderá ser dispensada, a critério da autoridade consular.
2項 本省令で定める査証の発給前に在外公館の判断で免除可能な対面での面接を行なう。

Art. 4º O imigrante detentor do visto a que se refere o art. 2º deverá registrar-se em uma das unidades da Polícia Federal em até noventa dias após seu ingresso em território nacional.
第4条 第2条の査証を有する移民は、入国後90日以内に、連邦警察のいずれかの窓口において登録しなければならない。
Parágrafo único. A residência temporária resultante do registro de que trata o caput terá o prazo de dois anos.
補項 本条本文の登録による一時在留は2年間の期限を有する。

Art. 5º O nacional ucraniano, que se encontre em território brasileiro, independentemente da condição migratória em que houver ingressado no Brasil, poderá requerer autorização de residência para acolhida humanitária perante uma das unidades da Polícia Federal.
第5条 すでにブラジル領内にいるウクライナ国民は、ブラジルに入国した際の在留資格にかかわらず、連邦警察のいずれかの窓口に人道配慮のための在留許可を申請できる。
§ 1º O prazo de residência previsto no caput será de dois anos.
1項 本条本文の定める在留許可の期間は2年間とする。
§ 2º O requerimento previsto no caput poderá ser formalizado pelo interessado, por seu
representante legal ou por seu procurador constituído.
2項 本条本文に定めた申請は利害関係者、その法定代理人又は受任弁護士が適法に行なうことができる。
§ 3º Na hipótese de requerente criança, adolescente, ou qualquer indivíduo relativamente
incapaz, o requerimento de autorização de residência poderá ser feito por qualquer dos pais, assim como por representante ou assistente legal, conforme o caso, isoladamente, ou em conjunto.
3項 申請者が児童、青少年又は制限能力者である場合には,在留許可の申請は,父母のいずれか,場合により代理人又は法律上の補佐人が,個別に又は共同して行うことができる。
§ 4º Ainda que o requerimento tenha sido apresentado nos termos dos §§ 2º ou 3º deste artigo, o registro será realizado mediante a identificação civil por dados biográficos e biométricos, com a presença do interessado.
4項 本条第2項又は第3項に基づいて申請された場合であっても、登録は、利害関係者の立会いのもとで、生物学的及び生体情報による民事識別によって行なう。

Art. 6º O requerimento de autorização de residência deverá ser formalizado com os seguintes documentos:
第6条 在留許可の申請は、以下の書類によって適法に行なわなければならない。
I – documento de viagem, ainda que a data de validade esteja expirada;
1号 旅券(有効期限が切れたものであっても良い)
II – certidão de nascimento ou de casamento, ou certidão consular, desde que não conste a
filiação nos documentos mencionados no inciso I; e
2号 出生証明書、結婚証明書又は領事証明書(ただし、親族関係が第1号の書類に記載されていない場合)
III – declaração, sob as penas da lei, de ausência de antecedentes criminais no Brasil e no
exterior, nos últimos cinco anos anteriores à data de requerimento de autorização de residência.
3号 在留許可申請日以前の過去5年間に、ブラジル国内及び国外で犯罪歴がないことを法の罰則のもとで宣言した宣誓書
§ 1º Em caso de indisponibilidade do sistema de coleta de dados biométricos da Polícia Federal, poderá ser exigida a apresentação de uma foto no formato 3×4.
1項 連邦警察の生体情報収集システムが利用できない場合、3×4サイズの写真の提出が求められることがある。
§ 2º As certidões de nascimento e de casamento mencionadas no inciso II do caput poderão ser aceitas, independentemente de legalização e tradução, desde que acompanhadas por declaração do requerente, sob as penas da lei, a respeito da autenticidade do documento.
2項 本条本文第2号の出生証明書及び婚姻証明書は、適法性及び翻訳にかかわらず、文書の真正に関する申請者の法の処罰のもとでの宣誓書が添付されていれば、受理できる。
§ 3º Caso seja verificado que o imigrante esteja impossibilitado de apresentar o documento
previsto no inciso II do caput, conforme o § 2º do art. 68 do Decreto nº 9.199, de 2017, tal documentação poderá ser dispensada, hipótese em que os dados de filiação serão autodeclarados pelo requerente, sob as penas da lei.
3項 2017年大統領令第9199号第68条第2項に基づき、移民が第2項に規定された書類を提示できないことが確認された場合、当該書類の提出を免除でき、その場合、法の罰則の下、申請者が親権を自己申告する。
§ 4º Quando se tratar de imigrante menor de dezoito anos, que esteja desacompanhado ou
separado de seu responsável legal, o requerimento deverá observar os termos do art. 12 da Resolução Conjunta nº 1, de 9 de agosto de 2017, do Conselho Nacional dos Direitos da Criança e do Adolescente – Conanda, do Comitê Nacional para os Refugiados – Conare, do Conselho Nacional de Imigração – CNIg, e da Defensoria Pública da União – DPU.
4項 同伴者がなく、又は法定後見人と離れている18歳未満の移民の場合、申請は、子どもと青年の権利のための国家審議会、難民のための国家委員会、国家移民審議会及び連邦公共弁護庁の2017年8月9日付共同決議第1号第12条を遵守しなければならない。

Art. 7º Apresentados e avaliados os documentos mencionados no art. 6º, será realizado o
registro e processada a emissão da Carteira de Registro Nacional Migratório – CRNM.
第7条 第6条に記載された書類が提出され、審査されると、登録され、国家移民登録証(CRNM)の発行手続が行われる。
§ 1º Na hipótese de necessidade de retificação ou de complementação dos documentos
apresentados, a Polícia Federal notificará o imigrante para fazê-lo no prazo de trinta dias.
1項 提示された書類に訂正又は追完が必要な場合、連邦警察は30日以内にそれを行うよう移民に通知する。
§ 2º Decorrido o prazo sem que o imigrante se manifeste, ou caso a documentação esteja
incompleta, o processo de avaliação de seu requerimento será extinto, sem prejuízo da utilização, em novo processo, dos documentos que foram inicialmente apresentados, e que ainda permaneçam válidos.
2項 移民が対応しないまま期限が過ぎた場合、または書類に不備があった場合、申請の審査は終了するものの、最初に提出された有効な書類を新たな手続で使用することは妨げられない。
§ 3º Indeferido o requerimento, aplica-se o disposto no art. 134 do Decreto nº 9.199, de 2017.
3項 申請が却下された場合、2017年付大統領令第9199号第134条の規定を適用する。

Art. 8º O imigrante poderá requerer, em uma das unidades da Polícia Federal, no período de
noventa dias anteriores à expiração do prazo de dois anos previstos nos arts. 4º e 5º desta Portaria, autorização de residência com prazo de validade indeterminado, desde que:
第8条 移民は、以下の条件を満たす場合には、本省令第4条及び第5条定める2年間の期間の満了前90日の間に、連邦警察のいずれかの窓口において、無期限の在留許可を申請できる。
I – não tenha se ausentado do Brasil por período superior a noventa dias a cada ano migratório;
1号 移住後各年90日を超えてブラジルを離れていないこと
II – tenha entrado e saído do território nacional exclusivamente pelo controle migratório
brasileiro;
2号 ブラジルの入国管理のもとでのみ出入国していること
III – não apresente registros criminais no Brasil e no exterior; e
3号 ブラジル又は国外で犯罪歴がないこと
IV – comprove meios de subsistência.
4号 生計手段の証明
§ 1º O requisito previsto no inciso III do caput será demonstrado por autodeclaração e certidões de antecedentes criminais ou documento equivalente, emitido pela autoridade judicial competente da localidade onde tenha residido durante a residência temporária.
1項 本条本文3号の要件は,自己申告書及び一時在留中の居住地域の管轄司法当局が発行した犯罪歴証明書又はこれに相当する文書によって証明される。
§ 2º Para atendimento do requisito previsto no inciso IV do caput, serão aceitos quaisquer dos seguintes documentos, sem prejuízo de outros que possam cumprir idêntica função probatória:
2項 本条本文第4号の要件を満たすため、次の文書のいずれかを受理する。ただし、同様の証明をし得る他の文書を排除しない。
I – contrato de trabalho em vigor ou Carteira de Trabalho e Previdência Social – CTPS com
anotação do vínculo vigente;
1号 有効な雇用契約書又は有効な雇用・社会保障手帳(CTPS)
II – contrato de prestação de serviços;
2号 請負契約書
III – demonstrativo de vencimentos, em meio impresso;
3号 給与明細書
IV – comprovante de recebimento de aposentadoria;
4号 年金受給証明書
V – contrato social de empresa ou de sociedade simples em funcionamento, no qual o imigrante figure como sócio ou responsável individual;
5号 移民が社員又は代表者となっている運営中の会社又は団体の定款
VI – documento válido de registro ativo em Conselho Profissional no Brasil;
6号 ブラジルの専門職団体への登録を証明する書類
VII – carteira de registro profissional ou equivalente;
7号 専門職登録証またはそれに相当するもの
VIII – comprovante de registro como microempreendedor individual;
8号 個人零細事業者としての登録を証明するもの。
IX – declaração comprobatória de percepção de rendimentos;
9号 収入を証明する宣誓書
X – declaração de ajuste anual para fins de imposto de renda;
10号 所得税のための年次調整申告書
XI – inscrição como autônomo nos cadastros dos órgãos competentes;
11号 管轄機関に自営業者として登録されていることの証明
XII – comprovante de investimentos financeiros ou de posse de bens ou direitos suficientes à manutenção própria e da família;
12号 自己及び家族の生計維持に十分な投資又は資産若しくは権利の保有を証明するもの
XIII – declaração, sob as penas da lei, de que possui meios de vida lícitos e suficientes que
permitam a subsistência do interessado e de sua família no País; ou
13号 利害関係者及びその家族が国内で生活するための合法的かつ十分な生活手段を有している旨の法の処罰のもとでの陳述書
XIV – declaração, sob as penas da lei, de dependência econômica nos casos dos dependentes legais, hipótese em que também deverá ser juntado comprovante de subsistência do responsável.
14号 法律上の扶養家族にあたる場合には、扶養を受けている旨の法の処罰のもとでの宣誓書(この場合、扶養責任者の生計証明を添付しなければならない)
§ 3º São considerados dependentes econômicos, para fins do disposto no inciso XIV do § 2º:
3項 第2項第14号の規定を適用にあたり、以下の者は扶養家族とみなす。
I – descendentes menores de dezoito anos, ou de qualquer idade, quando comprovada a
incapacidade de prover o próprio sustento;
1号 18歳未満の卑属、又は年齢を問わず自らに生計能力がないことを証明した卑属
II – ascendentes, quando comprovada a incapacidade de prover o próprio sustento;
2号 自らに生計能力がないことを証明した尊属
III – irmão, menor de dezoito anos ou de qualquer idade, quando comprovada a incapacidade de prover o próprio sustento;
3号 18歳未満又は年齢を問わず、生計能力がないことを証明した兄弟姉妹
IV – cônjuge ou companheiro ou companheira, em união estável;
4号 内縁配偶者
V – enteado ou menor de dezoito anos sob guarda; e
5号 継子又は18歳未満の被監護未成年者
VI – que estejam sob tutela.
6号 被後見人
§ 4º Os dependentes a que se referem os incisos I, III e V do § 3º, se comprovadamente
estudantes, serão assim considerados até o ano calendário em que completarem vinte e quatro anos.
4項 第3項1号、3号及び5号の扶養家族は、学生であることが証明された場合、24歳に達する年まで扶養家族とみなされる。

Art. 9º A obtenção da autorização de residência prevista nesta Portaria implica a desistência de solicitação de reconhecimento da condição de refugiado.
第9条 本省令の在留許可が取得された場合、難民認定申請は取り下げられる。

Art. 10. Ao imigrante beneficiado por esta Portaria fica garantido o livre exercício de atividade laboral no Brasil, nos termos da legislação vigente.
第10条 本省令が適用される移民は、現行法のもと、ブラジルにおける自由な就労が保証される。

Art. 11. Aplica-se ao imigrante beneficiado por esta Portaria a isenção de taxas, emolumentos e multas para obtenção de visto, registro e autorização de residência, nos termos do § 4º do art. 312 do Decreto nº 9.199, de 2017.
第11条 本省令が適用される移民は、2017年大統領令第9199号第312条4項に基づき、査証、登録、在留許可取得にかかる手数料、報酬及び罰金が免除される。
§ 1º Sem prejuízo do disposto no caput, poderão ser cobrados valores pela prestação de
serviços pré-consulares por terceiros contratados pelo governo brasileiro para realizar tal atividade.
1項 本条本文の規定に反することなく、ブラジル政府が契約した第三者は領事申請代行業務の提供のための料金を請求できる。
§ 2º A isenção tratada no caput estende-se aos chamados pelos beneficiados por esta Portaria para fins de reunião familiar.
2項 本条本文の免除は、家族の再会を目的とした本省令が適用される移民による呼び寄せに及ぶ。

Art. 12. Considera-se cessado o fundamento que embasou a acolhida humanitária prevista nesta Portaria na hipótese de o imigrante sair do Brasil com ânimo definitivo, ou o faça fora dos pontos de controle migratório, desde que comprovado por meio de informações que demonstrem ter ele realizado tentativa de residir em outro país.
第12条 本省令による人道配慮の基礎は、移民が自らの判断によって確定的にブラジルを離れた場合、又は入国管理外の出国をした場合、他国に居住しようとしていることが証明された場合には、消滅したものとみなす。

Art. 13. Constatada, a qualquer tempo, a omissão de informação relevante ou declaração falsa no procedimento desta Portaria, será instaurado processo de cancelamento da autorização de residência, conforme previsto no art. 136 do Decreto nº 9.199, de 2017, sem prejuízo de outras medidas legais de responsabilização civil e penal cabíveis.
第13条 本省令の手続きにおいて、関連情報の不記載や虚偽の記載が発覚した場合、2017年大統領令第9199号第136条の規定に基づき、適用される民事責任および刑事責任の他の法的措置を損なうことなく、在留許可の取消手続きが開始される。
Parágrafo único. Durante a instrução do processo, poderão ser realizadas diligências para
verificação de:
補項 手続に際し、処分のために以下を確認できる。
I – dados necessários à decisão do processo;
1号 手続の判断に必要なデータ
II – validade de documento perante o respectivo órgão emissor;
2号 各発行機関の文書の有効性
III – divergência nas informações ou nos documentos apresentados; e
3号 提出された情報又は文書の不整合
IV – indícios de falsidade documental ou ideológica.
4号 文書又は思想に関する虚偽の証拠

Art. 14. Aplica-se o art. 29 da Lei nº 9.784, de 29 de janeiro de 1999, na instrução dos pedidos de que trata esta Portaria.
第14条 1999年1月29日付法律第9784号第29条は、本省令で取り扱われる申請に関する指示に適用する。

Art. 15. Esta Portaria entra em vigor na data de sua publicação.
第15条 本省令は公布のときに発効する。

Yasuyuki Nagai
Advogado japonês em Nagoya