obligaçõesとdeveres

1916年ブラジル民法の2条は

Todo homem é capaz de direitos e obrigações na ordem civil.

と定めていたのを現行ブラジル民法1条は

Toda pessoa é capaz de direitos e deveres na ordem civil.

に改めた。意味はどちらも「すべて人は私法の権利義務を享有する」みたいなことだけど、人がhomemからpessoaになって、義務がobrigações からdeveresになった。homem とpessoa の方はmanとpersonの違いで分かりやすいけど、obrigações とdeveresはどう違うのか。民法の本には、deveresはobrigações とは違って、もっと広くて用語として適切だとか、婚姻配偶者の義務はdeveres ではあるけどobrigações ではないなどと書いてある。

友人によれば、スペイン語のdeberは内面的な倫理や道徳から求められる義務や責務で、obligaciónは他から課される責務を意味し、ポルトガル語でも同じニュアンスだという。その一方で、ポルトガル語にはobligação alimentar(扶養義務)という言葉もあるし、dever de sustentoという言い方もある。対応してスペイン語にもobligaciones alimentariasとか、deber de susutentoという言葉があるようだ。ポ日法律用語集にはdever de alimentosが掲載されている。また、スペイン語では市民の義務について、deberes del ciudadanoはあるけれども、obligaciones del ciudadanoとはあまり言わないとか。

1916年民法では現在の視座からするとdeveresが適切な場所にobligçõesが使われていたわけで、同じように昔から使われている用語には、現在の視座からするとdeveresが適切だと思われる用語にobligaçõesが使われていることもあるだろう。そうだとすると、ニュアンスの本質的な違いから個々の用語を明確に説明することはできないのかもしれない。

Yasuyuki Nagai
Advogado japonês em Nagoya